『塗る・切る・磨くで世界を変える』Mipox株式会社(本社:栃木県鹿沼市 代表取締役社長:渡邉 淳)は、次世代パワー半導体材料の主要素材と目されている大口径SiC8インチウェーハ向けに、安定した面取り加工を施せる工法を確立。Mipoxが展開する受託研磨加工サービス、及びSiC8インチウェーハ用途に特化した専用仕様のノッチ※1/エッジ研磨装置の提供を開始しました。
SiC(炭化ケイ素/シリコンカーバイド)は、パワーエレクトロニクスにおける次世代の主要素材と目されています。現在、主な半導体材料であるSi(シリコン)に比べて、より高電圧・高温環境での動作が可能で、効率的な電流通過性能を持ち、消費電力を抑えることができます。SiCは大電流での使用に耐え、高周波での運用が可能という特性から、パワー半導体用途を筆頭に、従来にない高性能デバイスを実現する事が出来、脱炭素化、EV化等に欠かせない材料として各方面から期待されています。
その期待の一方で、あらゆる物質の中で最も硬い素材とされるダイヤモンド(C)や炭化ホウ素(B4C)に次ぐ硬度を有するSiCは、従来の半導体ウェーハ製造工法、特に砥石研削方式によるノッチ/エッジ面取り工法では適切な生産性を確保できない問題を抱えております。特に数mmの非常に狭い範囲にV字型の3次元形状を有するノッチ部の面取り加工は、研削砥石が著しく摩耗し連続したノッチ面取りが出来ない致命的な問題を抱えており、SiC8インチ化(SiC8インチの市場形成)の大きな妨げになっていました。
Mipoxはこれらの課題を解決すべく、独自の研磨フィルムと装置を使用し、安定した面取り加工を施せる新工法を開発。これにより、連続したSiC8インチウェーハのノッチ面取りが可能となりました。
ウェーハの結晶方位を示す加工
ウェーハには結晶方位を示すために円盤の一部に目印を施します。
・ノッチ:8インチからの大口径ウェーハではノッチといわれるVの字切れ込みが主流
・オリフラ:円の一部を直線的にカットした平部で2~6インチの小口径ウェーハで主流
▲面取り加工
Mipoxは、長年培ってきた超精密研磨材の製造技術を強みとした「受託研磨加工サービス」を強化する一環として、弊社独自の研磨フィルム方式を応用した「SiCノッチ部面取り加工プロセス」を開発。この度その独自の新工法を確立しました。大口径SiC8インチウェーハ向けノッチ/エッジ面取り加工用途に適した専用の研磨フィルムも併せて開発し、本プロセスに搭載しております。国内外問わず需要が急増しているSiC8インチウェーハのノッチ/エッジ面取りのキャパを向上と、SiC8インチウェーハ用に特化した仕様の専用面取り装置も平行して開発。受託研磨サービスと専用研磨装置のリリースをもって、SiC8インチのニーズに応えます。