洗浄剤によるNiP基板の洗浄プロセス
ニッケルメッキされたハードディスク基板は、CMP後による基板表面に数種類の異物(コンタミネーション)が残存しています。 異物とは、研磨スラリー残渣、研磨屑、環境やプロセス装置由来の有機物などが挙げられます。したがって、次の製造プロセスに進む前に基板表面から異物を除去するための洗浄剤および洗浄プロセスが必要となります。一般的な洗浄プロセス
一般的な洗浄メカニズム概要
1. 濡れ性/剥離力による洗浄効果
洗浄剤に含まれる界面活性剤は、異物とハードディスク基板表面間との表面張力を低下させる効果があります。表面張力を低下させることで基板との濡れ性が向上し、異物を除去しやすくなります。
また、洗浄剤溶液中に基板を浸漬すると界面活性剤の疎水基が有機残渣に吸着します。同時に、親水基が有機残渣と反対向きに離れようとし、有機残渣を基板表面から引き剥がします。剥がれた残渣はミセルと呼ばれる形状となって乳化し、水に溶けた状態となります。
2. エッチングによる洗浄効果
洗浄剤中の有機塩は、基板表面に軽いエッチング効果を与えます。このエッチングにより、無機残渣は浮き上がって液中に溶解します。エッチングは無機系付着物や粗大異物を除去するのに効果的です。
3. 反発力による凝集/再付着防止効果
分散剤を洗浄剤に添加すると、溶液のゼータ電位の絶対値(表面電荷)は高くなります。ゼータ電位の絶対値が高いほど分散された粒子の安定性が維持され、粒子が相互に反発して凝集を防ぐことができます。また、粒子と基板表面との間にも反発力が生まれ、粒子の再付着も防ぐことができます。
実験:洗浄剤有無によるクリーニング性の違い
〇手順
a) 基板表面に研磨スラリーを塗布 ※
b) i. aを洗浄剤に浸漬 + 超音波洗浄 430KHz
ii. aをDI水に浸漬 + 超音波洗浄 430KHz
c) DI水ですすぎ、スピンドライd) Candela 6310で基板表面を観察
※本実験ではスクラブ洗浄は適用していません。
〇結果
【光学式異物検査装置による異物検出マップ】
〇結論
- Mipox洗浄剤は、金属およびガラス表面に付着/結合している残渣や、他の固体異物を効率的に除去できます。
- Mipox洗浄剤は、浸漬/スクラブ、超音波やメガソニック洗浄システムでの洗浄に適しています。
(著:Technical R&D部門(マレーシア拠点 )、和訳:技術開発課(山梨工場))
<関連>
Mipox製品特設サイト(精密洗浄剤ページ)
マレーシア拠点 HP
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